献体の意味と献体時の葬儀代
献体の意味は、自分が亡くなったとき、遺体を医大の教育や研究目的に提供するということです。
もちろん、亡くなった後に自分の体を提供しますと意思を伝えることはできませんから、生前に意思を伝えておく必要があります。
それも家族や病院に口で伝えておけば良いわけではありませんし、遺言書でもいけません。献体として提供したい大学や団体に連絡して、登録してようやく、死後に遺体を提供することができます。
具体的な申し込み内容についてはそれぞれ問い合わせるべきですが、基本的には申込書に必要事項を記入して、肉親の同意が必要です。
自分に献体提供する気持ちがあっても、最終決定は遺族となる肉親にゆだねられます。
そのため遺族の中に献体への反対者がいると提供ができなくなってしまいます。そうなれば本人の意思も叶わなくなってしまうので、提供をお考えの方はその理由を可能な限りの肉親にあらかじめ伝えておき、納得させておく必要があります。特に配偶者、両親、兄弟姉妹、子どもと近い肉親の了承は必至です。
献体を行う場合、葬儀に影響が出るのではという理由で反対されることもありますが、葬儀を終えてから献体することもできるので、支障はありません。
通常の葬儀であれば火葬へと進みますが、献体の場合は提供先へと遺体を運びます。献体を終えれば、火葬が行われ、遺骨となって遺族のもとに返還されます。
ただし、注意すべきは献体の場合は遺骨が返還されるまでの時期が遺族で選べないことです。返還まで数年かかることもあります。これについて問題が発生するようであれば、献体登録前によく肉親とお話ししておくべきでしょう。
近年は献体登録に興味を持つ方が増える傾向にありますが、葬儀代や墓代がかからない、安くなるというイメージが広まっていることが理由の一つとしてあげられます。ですが、献体は無条件かつ無報酬で遺体を提供する約束ですから、葬儀代や墓代で得をするということはありません。
ただ、献体提供すると葬儀後の遺体輸送代、火葬代は献体提供先が負担することになります。なので、一般のお葬式よりも総合的には得をするのは確かです。
純粋に役に立ちたいという理由から献体登録するのはもちろん、自分のお葬式に少しでも遺族に負担をかけたくないとお考えの方は、ご家族と献体についてご相談してみると良いでしょう。
ただ、重ねて言いますが、献体提供の場合は火葬後に遺骨が遺族のもとに帰ってくる時期を選ぶことができません。それについて理解がないままで登録してしまうと土壇場になって肉親に反対されてしまいかねず、登録した意味もなくなってしまうので、気を付けてください。